オノデライダー戦記

ヴィクトワール広島所属プロロードレーサー小野寺玲のブログ。いつまでも自分らしく輝きたい僕の日常や活動を発信していきます。

オフの幕開け(前編)

 

 

 

3年ぶりに沖縄で終わったシーズン。

 

 

つまり3年ぶりにオフの沖縄旅の機会がやってきたということ!

 


直近だと19年に、レース翌日にレンタカー(BMW Z4)を借りて沖縄本島を美味しい物を食べながらドライブして、那覇に戻ってからは国際通りで行きつけの居酒屋に行って沖縄の料理とお酒を楽しんだりしたのが最後。

 


絶対に自分では買わない車に乗って、沖縄の風を感じながらドライブするのが恒例になっていた。

 

 

 

 

 


3年ぶりとなった今回も、ツールド沖縄が開催されると分かってからは旅のプランは立てていた。

 

 

 

 

毎回、最終戦となる沖縄では、チームでチケットを予約する際、監督が気を利かせて帰りの便を遅らせるかどうかの希望を取ってくれる。


僕はギリギリまで悩んで、今回は走り尽くした沖縄本島では無く、離島に行くことにした。

 

 

 

宮古島だ。

 

 

 

国内で沖縄本島より南に行ったことが無い僕には未知の世界。


離島は沢山あるが、何故宮古島にしたのか。

まぁ、僕のことを知る人ならすぐピンとくることでしょう。

 

 

聖地巡礼

 

 

アニメには作品それぞれにモデルになった場所が存在する。


実在する場所や地域を舞台にすることも少なく無い。

作品を愛する人が実際にその地に足を運び、物思いに耽ることを俗に聖地巡礼と言われている。

 

 

 


今回、タイミング良く好きな作品の最終回を見終えたタイミングで、その最終回に登場した場所が宮古島に実在することを知った。

 


宮古島聖地巡礼なんて、こんな機会でも無いと行くのは難しいと考え、宮古島に飛ぶことにしたのです。

 

 

 


今回、聖地巡礼する作品は「リコリス・リコイル」


最終回に登場したのは宮古島伊良部島にある「ブルータートル」というお店。

 


夕焼けに染まる海辺のこの店で千束とたきなが語らうシーンで登場する。

 

 

 

 


今回宮古島に旅をすると決めた際、僕が毎回沖縄のレース後に滞在することを知っていた雄大が、諸事情でレース後にしばらく沖縄に滞在するらしく、せっかくなら一緒に行こうと申し出があり、今回初めて2人で旅することになったのです。

 


沖縄(石垣島)出身の雄大でも宮古島は初めてだそうだ。

 

 

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レース翌日は空港までチームと行動を共にし、空港で別れた後は雄大と合流し、昼の便で宮古島へ飛んだ。

 

 

宮古島に初上陸したその日は、レンタカーを借りて気軽に行ける観光スポットへ行くことに。

何せこの日まで聖地巡礼以外はノープラン。

飛行機に乗りながら作戦会議をしたのだ。

 

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今回借りたのは現行型のフィット。今回は車種にこだわらず予約していた。

様々な過保護な機能満載で、不気味な操縦感覚だった。

 

 


店の予約の時間までで行けそうな所…ということで海中公園へ。

 

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修学旅行の時に沖縄本島でも似たような施設に訪れた事があったが、宮古島で久々に体験すると、これはこれで楽しかった。

 

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ドライブと買い物をしながらお店とこの日泊まる宿のある伊良部島へ。

 

 

伊良部島へは「日本一長い無料で通行できる橋」として有名な伊良部大橋を経由する。

 

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この写真は翌朝撮りました。

 

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綺麗な海の上を走る爽快感。沖縄にはそんな海中道路が点在しており、これが沖縄でドライブするのが好きな理由の一つだ。

 

 

 

 

 

 

一度、宿に荷物と車を置きに行き、歩いて目当てのブルータートルへ。

(お酒を飲むと決めていたので徒歩で行ける範囲で宿を選んだ)

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宿からの眺めもいい感じだ。 

 

 

 

 

 

 

 

10分ほど歩いた先にお店が見えた。

 

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店の外観は作品に登場したそれそのもの。

 


作品のシーンと同じ夕焼けのタイミングが良かったので、1週間くらい前に17時半にテラス席を予約しておいた。

 


案内された席は、作品とほぼドンピシャのテラス席。

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席に着いたタイミングでちょうど夕陽が綺麗に見えていた。

 

 

 

同じ作品を見た二人はそっくりな景色に感激しつつ、飲み物と食事を注文。

 

 

 

僕はお店のオリジナルカクテル、ブルータートルをオーダー。

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泡盛好きの雄大は水割りの泡盛

 


オフの幕開けに乾杯。

 

 

 

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ピッツァは2人で分け合い、それぞれで料理を選んだ。

 


僕は宮古牛のハンバーグ。

 

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肉汁たっぷりのハンバーグを罪悪感を感じることなく食べれるのはオフシーズンの最高の瞬間である。

 

 

 

 


ひとしきり景色と食事を楽しんでいると辺りはすっかり暗くなった。

 

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満足したのでお店を後にして宿に戻る。

帰路を歩いていると道沿いで蛍が飛んでいた。

宮古島は手付かずの自然が多く残っていることでも人気の場所だけあって、身近に大自然の豊かさを感じることができた。

 

 

 

宿の下にあるスーパーで軽食とお酒を買って部屋で明日の作戦会議。

 


伊良部島内をカートで走りながら観光スポットを回るアクティビティがあると聞いていたので、そこへ行こうと考えていたのだが、予約がいっぱいで断念。

どうやら人気らしく、3週間くらい前から予約しないといけなかったらしい。

 

 

 

 


もうこうなったら行き当たりばったりでドライブしながら過ごそう!

というノリになり、特に計画を立てないことになった。笑

 

 

 

 


それからも、宿の中にあるレストランで追い食事。

 

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僕は伊良部海鮮丼。

 


初めてイラブチャーなる魚を食べた。

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脚注:https://www.zukan-bouz.com/sp/syu/ナンヨウブダイ

沖縄周辺でよく獲れて人気らしい。

石垣島出身の雄大イラブチャーと呼んでいたが、場所で色々と呼び名が変わるらしい。

 

 


身は白く、表面には青い鱗が少し残る刺身は、少しコリコリした食感で…

何の味に近いかとか形容しようと思ったのだが魚の知識に浅い僕には上手く表現できない。


ただ、とても美味しかった!!

 

 

 

 

 

旅の初日はここまで。

お腹も満たされて満足感の中眠りについた。

 

後編へつづく。

かもしれない…

 

 

シーズン最終戦ツールド沖縄

 

3年ぶりにシーズン最後を沖縄で迎えました。

 

とても懐かしいこの感覚。

沖縄の空気。どことなく他のレースとは違う雰囲気。

 

朝4時の朝食から始まった当日は、髪の毛が爆発している選手達が眠たそうにしながら食事をする。

 

朝から雨が降り、皆憂鬱そうだ。

 

僕も憂鬱だった。

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スタート地点に向かうと、雨が少し弱まってきた。

幸いにも沖縄はこの季節でも雨が降っても寒くない。

 

 

 


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気分が晴れないまま6時45分のスタート。

ちょうどこの日の日の出の時刻だ。

 

 

スタートするとアタック合戦が始まるが、朝イチのそれはどれも切れ味に欠ける。

 

僕らも序盤から逃げに乗っていきたいプランだったので、その機会を伺うが、コースも序盤は平坦基調なのでなかなか決定打が出ない。

 

 

 

そんな中、少しアタック合戦が中弛みしたタイミングで宮崎くんが飛び出す。

 

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いいタイミングのアタックだったが、これに便乗する選手は無く…

ここから宮崎くんの120kmに及ぶ独走劇が始まることになった。


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宮崎のアタックを容認した集団は一気にペースダウン。

サイクリングペースで距離を消化していく。

 

1度目の上りを前にレバンテのバトムンク選手が1人で追走を始める。

 

 

1回目の普久川の上りを越えて、最北端の辺戸岬あたりからブリヂストンがコントロールする動きを見せるが、ペースが上がったわけでは無い。

この時、宮崎と集団のタイム差は11分を超えていた。

 

やがて2度目の普久川の上りで右京やキナンがペースを上げ始め、宮崎の逃げは上り切った少し後で終わった。

 

宮崎は本調子では無かったものの快走を見せ、一度のスプリント賞と山岳賞を獲得!

 

 

その少し後でレバンテの選手も吸収され、集団は一つになった。

 

誰もが最有力の右京の出方を伺っているようだった。

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我々も4人を集団に残して次の動きに備えていたが、東村あたりを前にアタックが始まり、新城選手をきっかけに、吉岡選手、エンクタイヴァン選手、僕の3人が反応。

 

一時は4人の逃げになるが、上りでは脚の残り具合に差があり、思うようにペースが上がらない。

 

僕としては最後の羽地の上りを有力選手と真っ向勝負することは避けたかったので、この逃げは願ってもない好機だったのだが、それを失うのが嫌で、ローテを嫌う選手を他所に、僕が筆頭となりペースを作ることにした。

 

ところがこれが失敗。

まさかの単独逃げになってしまう。

 

まだ脚があるように見えた新城選手を前で待っているつもりだったが、せっかく築いた集団とのタイムギャップを失うのが怖く、脚を止めて待つのを躊躇ってしまった。

 

結果、新城選手の合流は叶わず、単独で行くところまで行くしか無くなった僕は、一か八かをかけた独走態勢へ。

 

タイムギャップは1分。

残り距離20km。

 

チームカーの監督から行け!行けるぞ!と激励され、もう今更引き返すという選択肢は無くなった。

 

 

 

羽地へ向かうまでの地味にきついアップダウンと向かい風が僕を苦しめ、更に後ろは右京勢が盤石の態勢で上りへ向かっていたという。

 

 

一人で苦しみながら逃げている時ずっと、

「僕は増田さんかもしれない」

「増田さんの走りができるかもしれない」

「今乗っているのは増田さんが乗っていたバイク。だから行ける!」

と自分に言い聞かせていたが、僕はとんでもない勘違いをしていたようだ。

 

僕は増田さんほど強くないし、仕掛けるタイミングとか、展開の読み方とか、まるで下手くそだった。

 

 

 

やがて、虚しく羽地の上りに差し掛かったタイミングでペースが上がった集団に飲み込まれ、そのペースについていくことすら出来ずに僕は遅れた。

 

 

 

欲を出して無謀な挑戦をして勝機を棒に振ってしまった。

 

 

 

自分勝手に走った僕に代わって、アベタカさんが6位に食い込んでくれた。


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僕は上りで遅れた選手と共にゴール。

順位など知らない。

 

 

 

 

 

よくよく考えれば、あの時独走を始める前、新城選手と吉岡選手を待って、上手く3人で逃げていれば、右京の動き方も変わって逃げ切りの可能性もあったのかもしれない。

 

新城選手と2人だったとしても、1人で逃げるより遥かにマシだったはず…

 

 

 

自分の判断の甘さにウンザリだ。

 

 

 

 

良いように言えば、チャレンジングな走りをしたと言えるのだろうが、選手として見れば無謀そのもの。

 

増田さんですら羽地の上りからの独走なのに、それよりも前から僕が逃げ切れるはずも無いだろう。

 

 

シーズン最後のレースをなんとも複雑な思いで終えることになってしまった。自業自得だが。

 

 


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でも、宮崎が山岳賞獲得して表彰の機会を作ってくれたし、チームとしても存在感のあるレースができた。

 

 

 

終わったことに後悔してももうしょうがないし、この日の経験を今後に活かせるようにしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ!待ちに待ったオフシーズンを楽しもう!!


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先ずはA&Wのジャンク飯から!


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地元オリオンビールはもちろん!

 


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夜はみんなで打ち上げ!!

 

レース後の沖縄の夜はとても楽しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

今日から僕は一泊長く沖縄滞在。

 

今回は新たな旅プランを立てているので、近況報告を楽しみにしていただければと。

 

 

 

 

 

 

 

 

改めて、今シーズンも沢山の応援ありがとうございました!

 

シーズン序盤から今日まで走り抜くことができたのは、沢山の応援があったからこそです。

 

とても沢山のことを経験できた、過去1番の良いシーズンだったと思えます。

 

 

 

 

 

少しばかりオフシーズンを楽しんで、また新たなシーズンに向けて進んでいこうと思います。

 

 

 

それではまた。

オフまであと210km

 

 

3年ぶりにこのタイトルのブログを書く。

 

ここ最近の2年はこの日はすでにオフシーズンだったからね。

 

 

コロナ禍で中止になる前は毎年出場していたレース。

寒くなってきて、オフに入るのが2週間伸びるのは正直キツいが、ツールド沖縄を走り切ってオフに入るのはまた違った達成感と解放感があるから好きだった。

 

 

 

 

 

今年は最初から最後までフルで走ったシーズンだったように思う。

シーズン後半なんて、色々重責背負ったりしながら走って疲れた気もする。

 

だから、今年は先日の山口でもう終わりたかったのが本音。

 

 

でも、久々に沖縄で〆るシーズンになるので、もはやそれだけを楽しみに遥々南の島へやってきた。

 

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沖縄入りの昨日は、朝早い便で沖縄へ飛ぶ為、前日木曜日の夕方から空港近くに移動しました。

 

 

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木曜日の移動前には駅で宇都宮餃子をキメた。

餃子祭りで餃子ローディングできなかったからな。

 

 

 


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金曜の朝は懐かしの京浜急行で羽田入り。

空港の少しお高いモーニングを頂いた。

 

出発ロビーのテラス席って、なんとなく大人な雰囲気が出る気がする。

 

 

 

 

 

 

 

久々の沖縄へのフライトは、短距離フライトが多かった最近から比べるととても長く感じた。

隣の席の人が美味しそうなのを食べていたこともあり、その日の朝食が少なかった僕は、フライトの半分以上の時間を空腹を堪えながら過ごした。

 

お気に入りのシリーズのラノベが無かったら耐えられなかったかもしれない。

 

 

 

 

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沖縄に着いて、待ちに待った食事!

空港内レストランでお馴染みのメニューを。

 

ここへ来るときは決まってソーキそばとジューシーを組み合わせて食べていた記憶があったが、過去の写真を見たらやっぱりこの組み合わせだった。

 

 


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お昼を済ませた後は、コースの試走へ。

今年は最後の羽地ダムの上りのレイアウトが変わっていた為、その下見も兼ねて。

 

 

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久々に走る沖縄の大地は暑くて気持ちが良い。

 


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その日の夕方、コンビニで宮崎くんがカヌレを買ってきてくれた。

沖縄のローソンカヌレは焦げ気味でした。

 

 

 

 

 

今日は朝から1時間半、雨の中本部半島を走った。

雨の中を凍えずに走れるのは沖縄ならでは。

 

 

その後はお馴染みの名護曲食堂へ。


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ゴーヤー御前。

 

ここは沖縄の味が色々と楽しめる馴染みのお店。

3年ぶりに訪れた今日も変わらぬ美味さで嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日は4時起きで朝食。

 

朝早めの僕ではあるが、流石に沖縄の朝は早すぎる。

まぁ、日の出と共にスタートする唯一無二のレースを楽しむとしよう。

 

 

そしてゴールした瞬間オフになるあの開放感を味わいにいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それではまた。

オノデライダーは弱い。けれど、誇らしく思う。

 

 

今日は今年最後のJCL公式戦。

 


秋吉台カルストロードレース

 

 

 

 


あれだけ重たく感じたイエロージャージを着て走るのも今日が最後というわけだ。


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絶対的エース不在の今回は、アベタカさんと僕が中心にレースを走ることになる。


プランを練るのは難しかった。


上りで勝負できる確信がある選手がいないからだ。

 

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このレースはカルスト台地を舞台にしたアップダウンに富んだコース。

一周29.5kmを4周する。

ゴール前1kmは急勾配が延々と続くコースプロフィール。

 


要は急勾配の上りで勝負できる脚が無ければ話にならない、というわけだ。

 


上りエース不在の我々は何とか戦えそうなプランを話し合って用意したが、僕は自信を持ってそのプランを思い描くことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天気は気持ちの良い秋晴れ。

カルスト台地が良く映える。

 

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レースがスタートすると、いつもとは違ってスロースタートとなった。

 


早いうちからチーム右京が集団前方を固める動きを見せ、レースを支配する姿勢に見えた。

 


そのため、大人数での逃げは出来ず、単独先行などがチラホラできる程度にとどまった。

 


スプリントポイントに向けた動きなどでペースの変動があったりしたが、常にチーム右京やキナンが集団前方を走り、コントロールしていた。

 

 

 

我々も集団前方に位置取り、レースを落ち着いて展開する。

 

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集団の空気感が逃げに不利だと分かると、プランに含まれていた有力勢との逃げ、という形は難しいだろうという判断になった。

 

 

 

 


レースを支配下に置くチーム右京は、想定通り、1周目のラストの上りで動きを見せた。

 


上り以外では有力な逃げを許さずペースコントロールをし、上りで仕掛ける。

 


上りに自信が無ければできない走り方だ。

 


最初の上りは、後半に少しペースアップがあったが難なくクリア。

集団前方でフィニッシュ地点を通過する。

 

 

 

この時、アベタカさんが機材トラブルで遅れていたが、幸いにも集団のペースは上がらず、しばらくして合流できた。

 


この周は上りで遅れた選手もその後の区間で追いつける状況。

 


チームメイト達もしっかりそばに揃っていた。

 

 

 

それからも、有力チームがそれぞれ選手を先頭に送ってペースメイク。

 


ラストの上り以外の区間では特に大きな動きは無く、平均的なペースでレースは展開する。

 

 

 

2回目の上りは少しキツかった。

下からチーム右京がペースを上げて上りに入り、それについていけたのはごくわずかの選手だった。

 


僕も遅れを取り、その次のセカンドグループで上りきり、前を追った。

 


ここでも先頭のペースは上りの後は上がり切らず、早いうちに合流できた。

 

 


迎えた3回目の上りも再びふるい落としがあった。

 


やはり前に残るのはチーム右京やキナンの精鋭達。

 

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僕は思うように身体が動かず、そこにくらいつけなかった。

 

 

 

頂上でジャンを聞き、最後の1周へ。

 


先の周より先頭と差ができてしまったが、セカンドグループでローテーションをして前を追い、後ろから合流した遅れていたチームメイトの助けもあって集団は一つになった。

 

 

 

一つになってから集団は牽制状態になった。

常にチーム右京の目が光る中でアタックする動きもそう出来ず、そもそもできる脚がある選手も限られていたのだろう。

 


当然、僕にも余裕が無かった。

 


できることなら最後の上りを前に逃げを決め、アドバンテージを持った状態で上りに入りたかった。

上りを真っ向勝負するには分が悪すぎるからだ。

 


余裕が無い僕にはそんな動きはトライできない。

 

 

 

一度、折り返しの区間で3名ほどで飛び出してみたが、後ろの状況を見るに不利に思えたので僕は早々に切り替えて後ろを待つことにした。

 

 

 

そんな中、帰路の上りで堀さんが渾身のアタックを決めてくれ、キナンとの2人逃げでアドバンテージを作った。

 

 

 

この動きには大変助けられ、その後の後ろからの追走の動きも多少の余裕が生まれた。

 


有力選手の動きを外さないようにチェックしながら最後の上りへ差し掛かる。

 


 

 


堀さんの先行は続いており、僕は内心「堀さん行け!!」と叫び続けていた。

 


上り勝負をする右京やキナンの選手と真っ向勝負できる脚は僕には無い。

 

 

 

ただ限界ギリギリのところで耐えて上り切る。

僕にはもうそれだけしかできなかった。

 

 

 

強い選手達が駆け上がって行くのを後ろで見ているしかできない自分が情けなかった。

 

 

 

 


そのまま行けるかと思った堀さんは惜しくも6位。

 

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僕はその後方9位でフィニッシュした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後のJCL戦で、リーダージャージを着て、チームのエースとして望んだレースは惨敗。

 


僕自身、自己評価もかなり低い。

僕のために尽くしてくれたチームメイトには申し訳ない走りをしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 


改めて、今回ロードレースをエースとして走ってみて、常にどんなレースでもエース役の筆頭になり、そこで皆の期待を背負いながらも結果を残してきた増田さんの凄さに気づかされました。

 

 

 

そう思うと、すぐ弱気になるし、決定打を打てる脚を持たない僕は、まだまだエースの器では無いのだなと痛感する。

 


各チームのエース選手を尊敬します。

 

 

 

 

 

 

こんなこと言うのもなんだが、レース前、レース中、増田さんにポジティブな言葉をかけて欲しかったな…と。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今年最後のポイント付与対象レースであるツールド沖縄を残しているが、今回の結果をもって僕の年間個人総合優勝が確定したようです。

(逆転されるとしたら、増田さんが沖縄で優勝した場合のみ)

 

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シーズン後半からこのジャージを受け継ぎ、その当初は最後はちゃんと増田さんが着てくれるだろうと思っていたイエロージャージ。

 


それが突然、僕がキープしなければいけなくなってからは、かなりのプレッシャーがあった。

 


僕に増田さんの代わりは務まるのか。

 


勝手に気持ちが追い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、チームメイト達に助けられて、ここまで走り切れました。

 

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不甲斐ない僕を最後までアシストしてくれた素晴らしいチームメイト達を誇りに思います。

 

 

 

 


そして最後まで全力で応援してくれたファンやサポーターの皆様、ありがとうございました!

 


SNSのコメント、現地での応援にどれだけ励まされたことか。

 


皆さんには本当に感謝しています。

 

 

 

 

 

 

 

さて。

今回の山口遠征は後泊が無いので宇都宮に帰ってきました。

 

宇都宮の終バスは早いので、急遽弟タクシーを召喚。

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カーチャン付きでした。

 

 

 

 

 

 

残すはツールド沖縄だけ!

オフまであと210km。

最後まで頑張ります!

 

 

 

っと。その前にツールドフランスさいたまクリテリウムにモブキャラ参戦しますので!

こちらもよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

それではまた。

勝手に重いと感じていた

 

この1週間、僕はずっと落ち着かなかった。

 

チームの絶対的エースで司令塔の増田さんが不在のまま迎える最終局面だということ。

そして、大分アーバンクラシック以降から、再び着ることになったイエロージャージ(個人総合ポイントリーダー)を、ランキング2位の増田さんが不在となってしまった残りのレースで、僕がこれを失うのが怖かったからだ。

 

残るレースで僕がヘマをしてしまうと、リーダージャージを失うことになるし、そうなった時には残りの少ないステージ、もしくは最終レースで逆転されると、取り返しがつかないからだ。

 

託された以上は責任を持ってツアーリーダーを守りたかった。(勝手に託されたと思っているだけなのだが。)

 

 

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今日は朝から晴れ。

海沿いということもあり、風はやや強い。

 

去年と同じ名前のレースだが、コースは新提案された一周1.5kmのショートコース。

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全体的に昨年と比べたら広いコースだが、狭い区間もある上、強風が吹くとなるとかなり厄介なコースだ。

 

 

 

 


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後からスタッフから聞くと、スタート前から明らかにいつもよりピリピリしていたらしい僕。

 

今日のポイント獲得も個人総合優勝にとっても重要だし、チーム総合優勝(年間の勝利回数で決まる)も今日勝てればまだ可能性があったので、様々な勝負がかかっているのだと、勝手に自分に重責を与えていたからだろう。

 


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レースが始まると強めの風も吹き始めていて、常に縦一列になるような状況。

 

狭い区間から少し上る区間もあり、その繰り返しにより、常に伸び縮みを繰り返していた。

 

本来ならチームのプランとして、前回の那須塩原クリテリウム同様に、逃げの展開を作ってそこで勝負したかったが、序盤からキナンがコントロールする姿勢を見せていたり、アタックをしても風とコースが要因で思うようにアドバンテージを稼げなかったりしたことから、逃げの展開は難しいように思えた。


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チームメイトには終始、キナンの後ろを外さないようにと声をかけ、前のポジションをキープ。

 

何度かアタックの動きがあった際には便乗して飛び出しを試みたが、難しかった。

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残り10周のところでパンクストップがあり、幸いニュートラル適応周回内だった為復帰は叶ったが、これで焦りが生まれる。


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残り距離は短くなり、右京のダイボール選手の1人逃げをキナンが追いかける展開。

集団はキナン→スパークル→右京の順で隊列が組まれ、その後ろにこの時点で残っていたアベタカさん、魁斗、僕が並んだ。

 

しかし、ラスト5周を切った辺りでアベタカさんに今日はもう厳しいと伝えられる。

 

マジすか…と更に不安が増したが、すぐに魁斗にラストまで行けるかと問い、行けるとのことだったので、残りは2人で組み立てることに。

 

残された周回の中で僕はずっとどうしたら良いのか考えていた。

枚数を残すキナンやスパークルが前を固めている状況でどう立ち向かうべきか。

 

結局、コレだ!という作戦は見つからずにファイナルラップに入る。

 

海沿いの道に出たところで魁斗に引き上げてもらい、隊列はスパークルと並ぶ形に。

 

そこからは集団はミックスされ混戦に。

狭い区間に入る手前で小石選手がアタックを仕掛け、それにアベタカさんが飛び乗った。

 

ラスト1kmを切って少しアドバンテージが開いたので、一瞬このまま行けるか?とも思ったが、厳しいと言っていたアベタカさんは限界が近いだろうし、後ろから他チームがスプリントすれば追いつかれてしまう差だった。

 

だから僕は残り300m辺りの上り区間で先行開始し、前の2人をわずかな下りで交わしてスプリントへ。

 

右前から風が吹いていたが、コースは緩く右に曲がっている。

風よけにされるのを嫌ってアウトに膨らむのではロスが大きく見えたので、インベタでスプリント。

 

このまま行ける!と思ったのだが、ゴール直前、左から影が一つ…いや二つ!と迫ってきて、最後は横並びでフィニッシュ。


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わずかな差で敗れて今年何度めか分からない2位となった。

 

ギリギリ勝負のスプリントの時、負けた側の人の方が勝敗が分かるという話をどこかで聞いた気がするが、今日まさにそれを味わった。

 

直後、沢田選手は勝利に確信が無かったようだが、僕は負けたことが分かった。

 

 

 

 

 

また、すぐそこにあった勝利を取りこぼして2位。

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思い返せば去年の山口ながとクリテリウムも2位だった。


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今回はシャンパンファイトではなく、地元のクラフトビールで乾杯。

 

僕がいただいたのは手前のパッケージのものだったが、口当たりが優しくフルーティな味わいでとても美味しかった。

この後何もなければ飲み干したかったのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日はJCL公式戦としては最終戦となる、秋吉台カルストロードレース。

 

入賞経験の無い、上りがハードで苦手なコースだが、良い走りをしたい。

 

 

 

今日も沢山の応援ありがとうございました!

レースの地は我々にとってはアウェイでしたが、現地でもブリッツェンの応援が聞こえて嬉しかったです!

 

明日も応援よろしくお願いします!!

 

 

 

 

 

 

 

今日の結果で、当然負けたのは悔しいのですが、それ以前に少し気持ちに余裕ができたというか、少し肩の荷が降りた気分です。

明日は今日よりかは気持ちを楽に戦えるといいな。

 

それではまた。

それでも

 

 

昨日の塩谷クリテリウムでの落車で、チームとしても、僕自身としても、大きなものを失ってしまった。

 

増田さん、中村、及川が転倒し、増田さんが骨盤骨折の重症を負ってしまいました。

 

これにより、残り1か月を切ったブリッツェンでの残りシーズンを共に走る事ができなくなってしまい、その先のオフシーズンの増田塾も絶望的に…

 

 

僕にどうしろと…?

 

 

チームメイトとして最後に走る残りのレース、そしてツールド沖縄を楽しみにしていたのに。

 

更に言えば、毎年オフシーズンは、増田さんからのメッセージでトレーニングに駆り出される事により、なんとか状態を上げる事ができていた僕だ。

 

その増田塾無しにどうやってシーズンインに備えれば良いのだろう…

 

 

これは、いつまでも増田さんに頼るなという暗示なのだろうか…

 

 

 

 

 

 

こんな具合にずっと、この先の不安とか、これからどうして行くべきなのかを考えて過ごした昨晩。

 

今日のレースもあるし、考え込みすぎても良くないと思い、iPadでゲームをやりながら無理矢理寝落ちした。

 

 

 

 

 

 

迎えた今朝は、懸念していた脚の痛みもそれほど酷くなっておらず安心した。

 

落車を回避した際、変に力んだせいか、変な所が所々痛む程度。

 

 

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今日は走れるメンバーが4人。

枚数が少ない分苦戦を強いられる。

 

 

 


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今日は早めに身体を動かし始めた。

昨日の影響がどれくらいのものか確かめる為でもある。

大きく影響するような感覚は無くて安心した。

 

 


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慣れない色での出走。この色のジャージは僕には重すぎる気もする。

 


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ストップアンドゴーを延々と繰り返すハードなレースが始まる。

 


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今日は枚数的に不利な状況下だったので、コントロールは不可能と考え、最後に向けた動きだけを全員で確認して挑んだ。

 

珍しく、今日は行くつもりじゃ無かったと後に話していたアベタカさん。

 

 

そのアベタカさんがタイミングで乗った逃げが何となく決まりそうな気がしたので、僕も後から単騎で合流した。
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しかし、この8人の逃げには右京が3人も乗っていて、あまり良くない状況。
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それでも、少ない人数で戦っている我々としては、中途半端に追いつかれるより、逃げ切りで勝負する方向の方が良いと判断し、逃げが決まってから終盤にかけてずっと、アベタカさんは小石選手と2人で逃げを引っ張り続けた。


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僕はその間、逃げ集団の中で落ち着いて走る事ができたが、この逃げが失敗したら…と考えたりすると弱気になりそうな自分がいて、何とか奮い立たせて走っていた。

アベタカさんの背中がどれだけ心強かったことか。

 

 

後ろに控えている右京勢が仕掛けてくるのが分かっていたので気が気じゃ無かったが。

 

 

 

 

その後、追走が迫ってくると、予想していた右京勢の波状攻撃が始まり、都度反応し、追いつくたびに牽制が入り…

を繰り返し、逃げのペースが落ち始める。

そうこうしていると、正確な数字は覚えていないが、ラスト5周を切ったくらい?で集団は一つになった。

 

 

しかし、追ってきた集団も追いつく為に消耗したのか、既にかなりの人数が絞られていた。

 

フレッシュな状態で追いつかれると、その後が心配だったが、逃げも追走も同様に消耗していたようだ。

 

 

集団がシャッフルされ、その後も続いた右京勢の波状攻撃に最後まで対応してくれたアベタカさん。

後ろから合流した光さんも、終盤の攻撃に対応してくれた。
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僕も対処できる攻撃には常に反応して、を繰り返してかなり消耗してきた。

 

 

 

結局、最後までドンパチしながら、集団一つで最終周。

最終ターンでラインを塞がれ、少し番手を落として立ち上がるが、そこで僕をインから抜いたクレダー選手の番手に付けたので、そこからスプリント態勢へ。

 

良い番手に付けたと思ったのだが、クレダー選手のスプリントの伸びは素晴らしかったし、消耗した僕の脚ではこれを捲り切れなかった。
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またこの場所で2位だ…

悔しい。

 

 


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本当は増田さんに最後まで来て欲しかったイエロージャージは僕が持っている。

増田さんの今シーズンの出走が叶わなくなった今、代わりにこれを守るのが僕の使命なのかもしれない。

 


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愛着のあるブルージャージがレースで着れないのは少し寂しいが、これも引き続きキープする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レース後は、応援に駆けつけてくれたファンやサポーターの皆様へご挨拶。

そして、今日が誕生日の増田さんと、最近誕生日を迎えた選手達のお祝いも。


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最後には全員で増田さんへのエールを送りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は沢山の応援、ありがとうございました!

レース中は常に弱気になりそうな状況でしたが、沢山の応援が僕の気持ちを奮い立たせてくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今シーズンもあと少し。

失ったものは大きすぎる。それでも、僕らはできる限りを尽くして走り抜かなければ。

 

 

 

 

 

 

それではまた。

日本一アツイ場所

 

今日、車で宇都宮駅前大通りと、森林公園前の交差点を走ると、昨日までの光景が幻だったのかと思うくらい日常的な光景がそこにあった。

 

昨日まで、同じ場所で大観衆の中ここを走った自分がいるはずなんだが…

 

夢でも見ていたのだろうか…

 

 

 

 

でも自分の中にある、寂しさ、悔しさ、安堵感、疲労感が、昨日までの出来事が夢でも幻でも無かったことを教えてくれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜日は曇りのち晴れ予報。

気温も日中は暖かくなる、絶好のレース日和だった。

 

 

 

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ピットエリアで振る舞われたコーヒーを飲みながら準備を始める。


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細谷マッサーに脚にスタートオイルを塗ってもらう。

まだ肌寒いスタート前に、筋肉にスイッチを入れてあげる作業だ。

 


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まだ復調途中の宮崎選手と談笑したり。

彼は何かと面白いので、話しているだけでレース前の良いリラックスになる。

 

 


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ステージにて出走サイン。

ここで初めて会場に集まったファンの皆様を見ることができた。

懐かしくも感じるここからの景色。

所々に趣旨を凝らした衣装が目に留まってそれもまた面白い。

 


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いよいよスタート。

これまで散々走って慣れ親しんだ10.3kmのコースを14周回する144.2kmのレース。

 

 

 

僕が観客として観ていた頃のジャパンカップとは違い、近年はレースのレーティングが上がり、より強いチームが多く参戦する事になったことにより、それまでのジャパンカップの展開とはまるで違う展開が繰り広げられたりしている。

 

今年も、スタートからずっとハイペースなレースが待ち受けていた。

 

1周目からワールドツアーチームのアタックで始まり、展開は常にワールドツアーチームが支配する形になる。

僕はその中で、上り区間ではひたすら耐えて、できる限り前でクリアするように頑張る他無かった。


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前日のミーティングでは、増田さんが山岳賞を狙いに行きたいと話し、チームメイトを驚かせた。

理想としては、序盤に形成されるであろう逃げに、ワールドツアーチーム複数人と共に増田さんが乗る展開だった。

 

しかし序盤の激しい展開に増田さんを前に送り込めず、24人もの先頭グループを先行させる展開になってしまった。


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そこでアベタカさんが集団を牽引する事を打診。

 

ここで増田さんから「玲、今日最後行けそうか?」と問われ「今日はキツいです…」と答えた僕。

ここまでのハードな展開に弱気になっていた。

 

チームの立てたプランとして、逃げと山岳賞の増田さん、最後まで粘ってできる限り上位を目指す僕の2本だった為の確認だった。

 

この時、僕が行けそうですと答えたなら、増田さんが集団牽引を務めるつもりでいたようだが、僕がNOと答えた為、この時調子の良さそうな堀さんと増田さんを残し、アベタカさんと僕が集団牽引を務める事になった。

 

無線での監督と増田さんのやり取りの中で監督が、「玲は今はキツそうでも後半復調したりしないか?」と問いかけが聞こえたが、この時既に増田さんと確認済みだったし、ここで声に出して「難しいです」とでも答えようものなら、本当にそうなりそうで怖かったので、前を引きながら無視をした。

 

 

逃げに乗せていないチームは国内チームのブリッツェン、シマノ、愛三、ブラーゼンのみ。

僕らが前に出て引いている中、監督と増田さんがそれぞれの位置から他チームに交渉し、牽引の協力を求めた。

 

応じたのはシマノとブラーゼン。

それぞれ1人ずつ牽引に加わり、一時は4人でペースを作った。

 

早めに対応したことが幸いして、1分と少しのタイム差に留まった。

 

6周目の上りで前が見える位置まで追いつき、下る頃には集団は一つになった。

なんとか仕切り直すことができた…

 

 

ここで、追いつく前に無線で「追いついたらアタックしていいですか?」と言っていた堀さんがグストの選手と2人でアタック。

 

これを容認した集団では束の間の平穏が訪れた。

 

グストの選手が山岳賞を勘違いした?アタックを上りでしたことによって堀さんは遅れて集団に戻ってくる。

集団に帰ってきた堀さんが「すまん…山岳賞獲れなかった…」と言っていたが、無線でも監督が言っていたがこの周に山岳賞はかかっていなかった。

違ったみたいですよと僕は伝えた。

 

 

 

海外チームがコントロールする集団は3回目の山岳賞がかかった9周目へ突入する。

 

このタイミングで監督から無線で、この周が山岳賞だと伝えられた。

1人の逃げも吸収し、落ち着いたペースで上りに差し掛かった集団から、増田さんが勢いよく単独アタック。


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有言実行。山岳賞を獲って魅せた。

 

これを機に集団に動きがあるのでは無いかと思った増田さんは前待ちをするためにそのまま独走態勢に入る。

 

しかしなかなか動きを見せなかった為、次の上りで集団に戻るとの無線が入る。

そして時を同じくして集団は再び活性化。上りのペースが1段階上がった。

 

無線ではチームカーを運転する監督から「遅れてくる選手が出始めている。ペースが上がっているから注意しろ」と指示が入る。


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上りではブチブチと集団が細かく割れ始めていた。

僕も先の牽引で脚を使い、かなり苦しくなってきたが、何とか集団内に留まり続けた。

が、このペースアップで前に割れた集団には乗れなかったし、帰ってきた直後の増田さんもこのタイミングで勝負集団に乗ることは出来なかった。

 

 

そこからは段々と上りがキツくなり、僕は上りで遅れを取り始めた。

 

同じタイミングで上りで遅れたワールドツアーチームの選手に同調して(ほとんど任せっきりで)、なんとか増田さんがいるセカンドグループまで復帰する事はできた。


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そこからラスト3周回は、15位以下のセカンドグループでゴールを目指す。

 

平坦ではローテに加わりもしたが、上りでは毎回遅れをとった。

 

それでも慣れた下りのスピードを活かして合流して…を繰り返して集団に留まる。

 

 

ファイナルラップも上りで遅れて下りで追いつき、着順争いに参加する事ができた。

 

しかしこの時既にすっからかんの僕にキレの良いスプリントなどできるわけもなく、ズブズブの21位に沈んだ。

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序盤、今日はもうキツイと感じた時は、ゴールできるイメージなど持てやしなかったが、ここまで辿り着けた。

 

 

レース後半、上りでキツくなっている時、ふと今日が増田さんと清水監督、そしてこのメンバーで走れる最後のジャパンカップだということが頭に浮かんでいた。

 

ここまで来たら何としても増田さんと一緒にゴールしたい。

 

そんな気持ちが無意識に芽生えていたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピットで座り込み、炭酸飲料を流し込む。
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身体のあちこちが疲労困憊だった。

 


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増田さんが最初で最後にブリッツェンとしてポディウムに立ち、今年のジャパンカップは幕を降ろした。

 

 

 

 

 

レース中の応援、レース後に迎えてくれるファンの皆様からの声、全てが特別だった。f:id:onoderider:20221017192159j:image

コースのどこを走っていても聞こえる応援、上り区間で海外レースでしか見れないような路面ペイント。


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コースでは僕個人へ向けた応援メッセージが沢山目に留まり、声援が聞こえ、辛いときには後押しになった。

 

こんなにアツイ場所、日本のどこを探してもここ以外には無い。

 

そんな日本一アツイ場所にレースが帰ってきて、そこで地元チームの地元選手として走れた事が嬉しい。

 

 

 

大会役員には高校時代にお世話になった先生がいて、レースの先導を担った白バイ隊員の中には高校時代の自転車競技部の先輩がいて。

 

ずっと地元で走ってきた僕にとっては特別なレースでした。

 

 

 

 

良い結果こそ伴わなかったけれど、チームメイト共にジャパンカップでレースできた事が嬉しい。

 

 

 

期間中沢山の応援、ありがとうございました!

 

 

 

 

そしてカヌレ・ド・オノデラも3日間全日完売!

 

買って食べてくれた皆様、ありがとうございました!

 

そして数量限定だった故に手に入らなかった皆様、ごめんなさい!

また次の機会も積極的に作ろうと思っていますので、乞うご期待ください!

 

 

 

 

また来年のジャパンカップでお会いしましょう!

そして来年こそはアフターパーティーの復活を強く希望します!!

 

 

 

 

それではまた。