オノデライダー戦記

ヴィクトワール広島所属プロロードレーサー小野寺玲のブログ。いつまでも自分らしく輝きたい僕の日常や活動を発信していきます。

日本一アツイ場所

 

今日、車で宇都宮駅前大通りと、森林公園前の交差点を走ると、昨日までの光景が幻だったのかと思うくらい日常的な光景がそこにあった。

 

昨日まで、同じ場所で大観衆の中ここを走った自分がいるはずなんだが…

 

夢でも見ていたのだろうか…

 

 

 

 

でも自分の中にある、寂しさ、悔しさ、安堵感、疲労感が、昨日までの出来事が夢でも幻でも無かったことを教えてくれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜日は曇りのち晴れ予報。

気温も日中は暖かくなる、絶好のレース日和だった。

 

 

 

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ピットエリアで振る舞われたコーヒーを飲みながら準備を始める。


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細谷マッサーに脚にスタートオイルを塗ってもらう。

まだ肌寒いスタート前に、筋肉にスイッチを入れてあげる作業だ。

 


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まだ復調途中の宮崎選手と談笑したり。

彼は何かと面白いので、話しているだけでレース前の良いリラックスになる。

 

 


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ステージにて出走サイン。

ここで初めて会場に集まったファンの皆様を見ることができた。

懐かしくも感じるここからの景色。

所々に趣旨を凝らした衣装が目に留まってそれもまた面白い。

 


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いよいよスタート。

これまで散々走って慣れ親しんだ10.3kmのコースを14周回する144.2kmのレース。

 

 

 

僕が観客として観ていた頃のジャパンカップとは違い、近年はレースのレーティングが上がり、より強いチームが多く参戦する事になったことにより、それまでのジャパンカップの展開とはまるで違う展開が繰り広げられたりしている。

 

今年も、スタートからずっとハイペースなレースが待ち受けていた。

 

1周目からワールドツアーチームのアタックで始まり、展開は常にワールドツアーチームが支配する形になる。

僕はその中で、上り区間ではひたすら耐えて、できる限り前でクリアするように頑張る他無かった。


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前日のミーティングでは、増田さんが山岳賞を狙いに行きたいと話し、チームメイトを驚かせた。

理想としては、序盤に形成されるであろう逃げに、ワールドツアーチーム複数人と共に増田さんが乗る展開だった。

 

しかし序盤の激しい展開に増田さんを前に送り込めず、24人もの先頭グループを先行させる展開になってしまった。


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そこでアベタカさんが集団を牽引する事を打診。

 

ここで増田さんから「玲、今日最後行けそうか?」と問われ「今日はキツいです…」と答えた僕。

ここまでのハードな展開に弱気になっていた。

 

チームの立てたプランとして、逃げと山岳賞の増田さん、最後まで粘ってできる限り上位を目指す僕の2本だった為の確認だった。

 

この時、僕が行けそうですと答えたなら、増田さんが集団牽引を務めるつもりでいたようだが、僕がNOと答えた為、この時調子の良さそうな堀さんと増田さんを残し、アベタカさんと僕が集団牽引を務める事になった。

 

無線での監督と増田さんのやり取りの中で監督が、「玲は今はキツそうでも後半復調したりしないか?」と問いかけが聞こえたが、この時既に増田さんと確認済みだったし、ここで声に出して「難しいです」とでも答えようものなら、本当にそうなりそうで怖かったので、前を引きながら無視をした。

 

 

逃げに乗せていないチームは国内チームのブリッツェン、シマノ、愛三、ブラーゼンのみ。

僕らが前に出て引いている中、監督と増田さんがそれぞれの位置から他チームに交渉し、牽引の協力を求めた。

 

応じたのはシマノとブラーゼン。

それぞれ1人ずつ牽引に加わり、一時は4人でペースを作った。

 

早めに対応したことが幸いして、1分と少しのタイム差に留まった。

 

6周目の上りで前が見える位置まで追いつき、下る頃には集団は一つになった。

なんとか仕切り直すことができた…

 

 

ここで、追いつく前に無線で「追いついたらアタックしていいですか?」と言っていた堀さんがグストの選手と2人でアタック。

 

これを容認した集団では束の間の平穏が訪れた。

 

グストの選手が山岳賞を勘違いした?アタックを上りでしたことによって堀さんは遅れて集団に戻ってくる。

集団に帰ってきた堀さんが「すまん…山岳賞獲れなかった…」と言っていたが、無線でも監督が言っていたがこの周に山岳賞はかかっていなかった。

違ったみたいですよと僕は伝えた。

 

 

 

海外チームがコントロールする集団は3回目の山岳賞がかかった9周目へ突入する。

 

このタイミングで監督から無線で、この周が山岳賞だと伝えられた。

1人の逃げも吸収し、落ち着いたペースで上りに差し掛かった集団から、増田さんが勢いよく単独アタック。


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有言実行。山岳賞を獲って魅せた。

 

これを機に集団に動きがあるのでは無いかと思った増田さんは前待ちをするためにそのまま独走態勢に入る。

 

しかしなかなか動きを見せなかった為、次の上りで集団に戻るとの無線が入る。

そして時を同じくして集団は再び活性化。上りのペースが1段階上がった。

 

無線ではチームカーを運転する監督から「遅れてくる選手が出始めている。ペースが上がっているから注意しろ」と指示が入る。


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上りではブチブチと集団が細かく割れ始めていた。

僕も先の牽引で脚を使い、かなり苦しくなってきたが、何とか集団内に留まり続けた。

が、このペースアップで前に割れた集団には乗れなかったし、帰ってきた直後の増田さんもこのタイミングで勝負集団に乗ることは出来なかった。

 

 

そこからは段々と上りがキツくなり、僕は上りで遅れを取り始めた。

 

同じタイミングで上りで遅れたワールドツアーチームの選手に同調して(ほとんど任せっきりで)、なんとか増田さんがいるセカンドグループまで復帰する事はできた。


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そこからラスト3周回は、15位以下のセカンドグループでゴールを目指す。

 

平坦ではローテに加わりもしたが、上りでは毎回遅れをとった。

 

それでも慣れた下りのスピードを活かして合流して…を繰り返して集団に留まる。

 

 

ファイナルラップも上りで遅れて下りで追いつき、着順争いに参加する事ができた。

 

しかしこの時既にすっからかんの僕にキレの良いスプリントなどできるわけもなく、ズブズブの21位に沈んだ。

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序盤、今日はもうキツイと感じた時は、ゴールできるイメージなど持てやしなかったが、ここまで辿り着けた。

 

 

レース後半、上りでキツくなっている時、ふと今日が増田さんと清水監督、そしてこのメンバーで走れる最後のジャパンカップだということが頭に浮かんでいた。

 

ここまで来たら何としても増田さんと一緒にゴールしたい。

 

そんな気持ちが無意識に芽生えていたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピットで座り込み、炭酸飲料を流し込む。
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身体のあちこちが疲労困憊だった。

 


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増田さんが最初で最後にブリッツェンとしてポディウムに立ち、今年のジャパンカップは幕を降ろした。

 

 

 

 

 

レース中の応援、レース後に迎えてくれるファンの皆様からの声、全てが特別だった。f:id:onoderider:20221017192159j:image

コースのどこを走っていても聞こえる応援、上り区間で海外レースでしか見れないような路面ペイント。


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コースでは僕個人へ向けた応援メッセージが沢山目に留まり、声援が聞こえ、辛いときには後押しになった。

 

こんなにアツイ場所、日本のどこを探してもここ以外には無い。

 

そんな日本一アツイ場所にレースが帰ってきて、そこで地元チームの地元選手として走れた事が嬉しい。

 

 

 

大会役員には高校時代にお世話になった先生がいて、レースの先導を担った白バイ隊員の中には高校時代の自転車競技部の先輩がいて。

 

ずっと地元で走ってきた僕にとっては特別なレースでした。

 

 

 

 

良い結果こそ伴わなかったけれど、チームメイト共にジャパンカップでレースできた事が嬉しい。

 

 

 

期間中沢山の応援、ありがとうございました!

 

 

 

 

そしてカヌレ・ド・オノデラも3日間全日完売!

 

買って食べてくれた皆様、ありがとうございました!

 

そして数量限定だった故に手に入らなかった皆様、ごめんなさい!

また次の機会も積極的に作ろうと思っていますので、乞うご期待ください!

 

 

 

 

また来年のジャパンカップでお会いしましょう!

そして来年こそはアフターパーティーの復活を強く希望します!!

 

 

 

 

それではまた。