オノデライダー戦記

ヴィクトワール広島所属プロロードレーサー小野寺玲のブログ。いつまでも自分らしく輝きたい僕の日常や活動を発信していきます。

オノデライダーは弱い。けれど、誇らしく思う。

 

 

今日は今年最後のJCL公式戦。

 


秋吉台カルストロードレース

 

 

 

 


あれだけ重たく感じたイエロージャージを着て走るのも今日が最後というわけだ。


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絶対的エース不在の今回は、アベタカさんと僕が中心にレースを走ることになる。


プランを練るのは難しかった。


上りで勝負できる確信がある選手がいないからだ。

 

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このレースはカルスト台地を舞台にしたアップダウンに富んだコース。

一周29.5kmを4周する。

ゴール前1kmは急勾配が延々と続くコースプロフィール。

 


要は急勾配の上りで勝負できる脚が無ければ話にならない、というわけだ。

 


上りエース不在の我々は何とか戦えそうなプランを話し合って用意したが、僕は自信を持ってそのプランを思い描くことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天気は気持ちの良い秋晴れ。

カルスト台地が良く映える。

 

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レースがスタートすると、いつもとは違ってスロースタートとなった。

 


早いうちからチーム右京が集団前方を固める動きを見せ、レースを支配する姿勢に見えた。

 


そのため、大人数での逃げは出来ず、単独先行などがチラホラできる程度にとどまった。

 


スプリントポイントに向けた動きなどでペースの変動があったりしたが、常にチーム右京やキナンが集団前方を走り、コントロールしていた。

 

 

 

我々も集団前方に位置取り、レースを落ち着いて展開する。

 

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集団の空気感が逃げに不利だと分かると、プランに含まれていた有力勢との逃げ、という形は難しいだろうという判断になった。

 

 

 

 


レースを支配下に置くチーム右京は、想定通り、1周目のラストの上りで動きを見せた。

 


上り以外では有力な逃げを許さずペースコントロールをし、上りで仕掛ける。

 


上りに自信が無ければできない走り方だ。

 


最初の上りは、後半に少しペースアップがあったが難なくクリア。

集団前方でフィニッシュ地点を通過する。

 

 

 

この時、アベタカさんが機材トラブルで遅れていたが、幸いにも集団のペースは上がらず、しばらくして合流できた。

 


この周は上りで遅れた選手もその後の区間で追いつける状況。

 


チームメイト達もしっかりそばに揃っていた。

 

 

 

それからも、有力チームがそれぞれ選手を先頭に送ってペースメイク。

 


ラストの上り以外の区間では特に大きな動きは無く、平均的なペースでレースは展開する。

 

 

 

2回目の上りは少しキツかった。

下からチーム右京がペースを上げて上りに入り、それについていけたのはごくわずかの選手だった。

 


僕も遅れを取り、その次のセカンドグループで上りきり、前を追った。

 


ここでも先頭のペースは上りの後は上がり切らず、早いうちに合流できた。

 

 


迎えた3回目の上りも再びふるい落としがあった。

 


やはり前に残るのはチーム右京やキナンの精鋭達。

 

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僕は思うように身体が動かず、そこにくらいつけなかった。

 

 

 

頂上でジャンを聞き、最後の1周へ。

 


先の周より先頭と差ができてしまったが、セカンドグループでローテーションをして前を追い、後ろから合流した遅れていたチームメイトの助けもあって集団は一つになった。

 

 

 

一つになってから集団は牽制状態になった。

常にチーム右京の目が光る中でアタックする動きもそう出来ず、そもそもできる脚がある選手も限られていたのだろう。

 


当然、僕にも余裕が無かった。

 


できることなら最後の上りを前に逃げを決め、アドバンテージを持った状態で上りに入りたかった。

上りを真っ向勝負するには分が悪すぎるからだ。

 


余裕が無い僕にはそんな動きはトライできない。

 

 

 

一度、折り返しの区間で3名ほどで飛び出してみたが、後ろの状況を見るに不利に思えたので僕は早々に切り替えて後ろを待つことにした。

 

 

 

そんな中、帰路の上りで堀さんが渾身のアタックを決めてくれ、キナンとの2人逃げでアドバンテージを作った。

 

 

 

この動きには大変助けられ、その後の後ろからの追走の動きも多少の余裕が生まれた。

 


有力選手の動きを外さないようにチェックしながら最後の上りへ差し掛かる。

 


 

 


堀さんの先行は続いており、僕は内心「堀さん行け!!」と叫び続けていた。

 


上り勝負をする右京やキナンの選手と真っ向勝負できる脚は僕には無い。

 

 

 

ただ限界ギリギリのところで耐えて上り切る。

僕にはもうそれだけしかできなかった。

 

 

 

強い選手達が駆け上がって行くのを後ろで見ているしかできない自分が情けなかった。

 

 

 

 


そのまま行けるかと思った堀さんは惜しくも6位。

 

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僕はその後方9位でフィニッシュした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後のJCL戦で、リーダージャージを着て、チームのエースとして望んだレースは惨敗。

 


僕自身、自己評価もかなり低い。

僕のために尽くしてくれたチームメイトには申し訳ない走りをしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 


改めて、今回ロードレースをエースとして走ってみて、常にどんなレースでもエース役の筆頭になり、そこで皆の期待を背負いながらも結果を残してきた増田さんの凄さに気づかされました。

 

 

 

そう思うと、すぐ弱気になるし、決定打を打てる脚を持たない僕は、まだまだエースの器では無いのだなと痛感する。

 


各チームのエース選手を尊敬します。

 

 

 

 

 

 

こんなこと言うのもなんだが、レース前、レース中、増田さんにポジティブな言葉をかけて欲しかったな…と。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今年最後のポイント付与対象レースであるツールド沖縄を残しているが、今回の結果をもって僕の年間個人総合優勝が確定したようです。

(逆転されるとしたら、増田さんが沖縄で優勝した場合のみ)

 

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シーズン後半からこのジャージを受け継ぎ、その当初は最後はちゃんと増田さんが着てくれるだろうと思っていたイエロージャージ。

 


それが突然、僕がキープしなければいけなくなってからは、かなりのプレッシャーがあった。

 


僕に増田さんの代わりは務まるのか。

 


勝手に気持ちが追い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、チームメイト達に助けられて、ここまで走り切れました。

 

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不甲斐ない僕を最後までアシストしてくれた素晴らしいチームメイト達を誇りに思います。

 

 

 

 


そして最後まで全力で応援してくれたファンやサポーターの皆様、ありがとうございました!

 


SNSのコメント、現地での応援にどれだけ励まされたことか。

 


皆さんには本当に感謝しています。

 

 

 

 

 

 

 

さて。

今回の山口遠征は後泊が無いので宇都宮に帰ってきました。

 

宇都宮の終バスは早いので、急遽弟タクシーを召喚。

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カーチャン付きでした。

 

 

 

 

 

 

残すはツールド沖縄だけ!

オフまであと210km。

最後まで頑張ります!

 

 

 

っと。その前にツールドフランスさいたまクリテリウムにモブキャラ参戦しますので!

こちらもよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

それではまた。