オノデライダー戦記

ヴィクトワール広島所属プロロードレーサー小野寺玲のブログ。いつまでも自分らしく輝きたい僕の日常や活動を発信していきます。

カルロス・サストレ流をモノにせよ!

 

久々に自転車ネタといきましょう。

 

スペイン滞在中、カルロス・サストレさんにフィッティングしてもらった話を詳しくしていなかったので、それに絡めたお話を。

 

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スペイン滞在中、入国から4日間ほどはアビラという街から約30km離れたエルバラコという町で過ごした。

 

そしてそのエルバラコで滞在していた宿のすぐ近くに、かの有名な08年ツール覇者であるカルロス・サストレさんの家があるとのことで、宿に激励を兼ねて顔を出してくれました。

 

その時の写真はLINEから保存し忘れて投稿できません…

 

僕は名前だけしか知らなくて、興奮していたのは同じ世代だった監督くらい。

 

僕はこの時、流石はスペインだな〜としか思っていませんでした。

 

 

その翌日、PCR検査の為にアビラに訪れた際、ちょうどこの街にカルロスさんがやってる店があるから顔を出していこうかという流れになり、彼の店にお邪魔した。

 

そしてサストレさんの案内で、今本業としているフィッティングを紹介したいと、2階に案内された。

 

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それがこの映画のセットのようなフィッティングルーム。

 

施設の存在感に圧倒されつつ、通訳を通してサストレさんの説明を聞く。

 

フムフムなるほど、なかなか興味深い。

 

サストレさんは選手引退後、約10年フィッティングに関して勉強し、今に至るという。

 

そしてここでは、8台の特殊なカメラを用いて身体の動きを解析し、それぞれの人に合ったバイクセッティングを提供するのだそうだ。

 

 

 

 

 

 

この話に興味を持ったのが、譲さんと僕。

監督にお願いして、翌日にフィッティングを受けられることになった。

 

ただし、カメラなどを用いたフルプログラムだと、一人につき1日を要するとのことで、スケジュールの都合上二人で受けるとショートプログラムでしかできないそうなので、そちらでお願いした。

 

残念ながら、最も興味深かったカメラでの解析はできないが、僕はフィッティングを受けた事が無かったので、そのフィッティングをツール覇者にしてもらえるという貴重な機会を逃すまいと、受けることにした。

 

 

 

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スペインの英雄に見つめられながら自転車を漕ぐという、なんとも不思議な時間だった。

 

彼に現状で乗っていて痛くなったり、不満だったりする点を聞かれ、僕は以下の内容を話した。

 

・長時間のレースでは肩凝りがひどい。

・長時間乗ると尿道へのストレスを感じる事がある。

・左大腿側面(腸脛靭帯)が良く張る。

 

といったもの。

 

まず初めにサストレさんはサドルとの相性を指摘し、坐骨幅を測定したところ、幅が合っていないとのこと。

 

僕がこの時使用していたのが、プロロゴのスクラッチM5で、幅が134のショートサドル。

 

サストレさん曰く、143くらいのサドルが合っているのだそうで、ショップにあった他メーカーのサドルに付け替えてテストする。

 

おぉ…たしかに座ってる感あるな…


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これに合わせ、サドル位置とクリートを再セッティング。

 

なんとサドルを1センチ近く上げられた!

 

そして、かなり深め(踵寄り)につけていたクリートを少し前に出した。

 

もっと足首に可動域が欲しいのだと言う。


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セッティングしてもらうのを眺める僕。

ツール覇者に触ってもらった僕のバイクは嬉しかっただろう。

 

それから、最も大きな変更になったのはハンドル周り。

 

僕のセッティングだと、肩が凝るのは当然だそうだ。

変に力んでしまうようなセットらしく、サストレさんにブラケット位置がかなり下げられた。

 

 

 

 

2時間ほどかけて出来上がったセットがこれ。

 

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日本に帰ってから作ってもらったセッティングシートを参考に組みなおしたものです。

 

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サドルは143mm幅のディメンションに変更。

以前試した事があったが、あまり好きになれず使っていなかったのだが、このセッティングだと妙に落ち着く。不思議なものだ。

 

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ブラケットはこんな感じに。

 

 

約2年前までは↓のようにトラディショナルハンドルを頑なに使用して、ブラケット位置をギャン!と上向きにするのがオノデライダー流だった。

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昨年の伊豆合宿の時に、今使用しているハンドルを試してみたことがあったが、どうも馴染め無くて、しばらくはトラディショナルハンドルに戻して走っていた。
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しかし、愛用のハンドルが廃盤になって入手が難しくなったのを理由に、イーストンのEA70にスイッチを決意。

 

ハンドルとステムは頑なにアルミ派なのだ。

 

 

去年の夏の広島のレースから本格使用し始め、割と早く馴染んだ。

 

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見にくいが、これがそのセッティングだ。

ブラケットはかなり上向き。

 

 

それをこう↓することにより、肩に余計な力みが無くなり、上半身はリラックスして乗れるようになった。

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最初はダンシングやコーナリングの際にすごく違和感を感じたが、1週間ほどで馴染んできた。

 

カルロス・サストレさん曰く、自転車は楽に美しく乗るのが理想なのだそう。

 

ストレス無く楽に乗るフォームを実現すれば、自ずとパフォーマンスは引き出されると言う。

 

たしかに頷けた。

 

実際、かなり大幅に変更したので、最初は違和感しかなかったが、馴染んでくると肩凝りもだいぶ改善されたし、脚が以前より大きく使えている感覚がある。

 

おまけに、今まであまり使えていなかった筋肉が積極的に稼働し、痛みを覚えたほどだ。

 

サストレさん曰く、この痛みは正しい身体の反応だそうで、これでしばらく乗り続けてモノにしたら、以前より確実にパフォーマンスは上がるそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィッティングを終え、このセッティングのままレースに臨みたいと話すと、フィッティング後からレースの日までのトレーニングスケジュールを作ってくれた。

 

 

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サストレさん直筆の僕用のスケジュール。レースの日にはこれで1位か2位だ!と書いてある。笑

 

 

これをこなして異常が無ければそのまま走ってOKだそうで、この日から毎日、サストレさんにレポートを提出する日々が続いた。

 

その度にアドバイスをくれていたので、安心してレースに臨む事ができました。

 

 

 

レース直前に思い切った判断だったが、これを機にセッティングを見つめ直す事ができた。

 

このオフ期間でモノにして、来シーズンに挑みたい。

 

 

 

 

 

 

 

アニメばっかり観たり、車いじりとかしてばかりだけれど、一応自転車選手だからね、こんなネタもありますよ、ハイ。

 

 

それではまた。