この1週間、僕はずっと落ち着かなかった。
チームの絶対的エースで司令塔の増田さんが不在のまま迎える最終局面だということ。
そして、大分アーバンクラシック以降から、再び着ることになったイエロージャージ(個人総合ポイントリーダー)を、ランキング2位の増田さんが不在となってしまった残りのレースで、僕がこれを失うのが怖かったからだ。
残るレースで僕がヘマをしてしまうと、リーダージャージを失うことになるし、そうなった時には残りの少ないステージ、もしくは最終レースで逆転されると、取り返しがつかないからだ。
託された以上は責任を持ってツアーリーダーを守りたかった。(勝手に託されたと思っているだけなのだが。)
今日は朝から晴れ。
海沿いということもあり、風はやや強い。
去年と同じ名前のレースだが、コースは新提案された一周1.5kmのショートコース。
全体的に昨年と比べたら広いコースだが、狭い区間もある上、強風が吹くとなるとかなり厄介なコースだ。
後からスタッフから聞くと、スタート前から明らかにいつもよりピリピリしていたらしい僕。
今日のポイント獲得も個人総合優勝にとっても重要だし、チーム総合優勝(年間の勝利回数で決まる)も今日勝てればまだ可能性があったので、様々な勝負がかかっているのだと、勝手に自分に重責を与えていたからだろう。
レースが始まると強めの風も吹き始めていて、常に縦一列になるような状況。
狭い区間から少し上る区間もあり、その繰り返しにより、常に伸び縮みを繰り返していた。
本来ならチームのプランとして、前回の那須塩原クリテリウム同様に、逃げの展開を作ってそこで勝負したかったが、序盤からキナンがコントロールする姿勢を見せていたり、アタックをしても風とコースが要因で思うようにアドバンテージを稼げなかったりしたことから、逃げの展開は難しいように思えた。
チームメイトには終始、キナンの後ろを外さないようにと声をかけ、前のポジションをキープ。
何度かアタックの動きがあった際には便乗して飛び出しを試みたが、難しかった。
残り10周のところでパンクストップがあり、幸いニュートラル適応周回内だった為復帰は叶ったが、これで焦りが生まれる。
残り距離は短くなり、右京のダイボール選手の1人逃げをキナンが追いかける展開。
集団はキナン→スパークル→右京の順で隊列が組まれ、その後ろにこの時点で残っていたアベタカさん、魁斗、僕が並んだ。
しかし、ラスト5周を切った辺りでアベタカさんに今日はもう厳しいと伝えられる。
マジすか…と更に不安が増したが、すぐに魁斗にラストまで行けるかと問い、行けるとのことだったので、残りは2人で組み立てることに。
残された周回の中で僕はずっとどうしたら良いのか考えていた。
枚数を残すキナンやスパークルが前を固めている状況でどう立ち向かうべきか。
結局、コレだ!という作戦は見つからずにファイナルラップに入る。
海沿いの道に出たところで魁斗に引き上げてもらい、隊列はスパークルと並ぶ形に。
そこからは集団はミックスされ混戦に。
狭い区間に入る手前で小石選手がアタックを仕掛け、それにアベタカさんが飛び乗った。
ラスト1kmを切って少しアドバンテージが開いたので、一瞬このまま行けるか?とも思ったが、厳しいと言っていたアベタカさんは限界が近いだろうし、後ろから他チームがスプリントすれば追いつかれてしまう差だった。
だから僕は残り300m辺りの上り区間で先行開始し、前の2人をわずかな下りで交わしてスプリントへ。
右前から風が吹いていたが、コースは緩く右に曲がっている。
風よけにされるのを嫌ってアウトに膨らむのではロスが大きく見えたので、インベタでスプリント。
このまま行ける!と思ったのだが、ゴール直前、左から影が一つ…いや二つ!と迫ってきて、最後は横並びでフィニッシュ。
わずかな差で敗れて今年何度めか分からない2位となった。
ギリギリ勝負のスプリントの時、負けた側の人の方が勝敗が分かるという話をどこかで聞いた気がするが、今日まさにそれを味わった。
直後、沢田選手は勝利に確信が無かったようだが、僕は負けたことが分かった。
また、すぐそこにあった勝利を取りこぼして2位。
思い返せば去年の山口ながとクリテリウムも2位だった。
今回はシャンパンファイトではなく、地元のクラフトビールで乾杯。
僕がいただいたのは手前のパッケージのものだったが、口当たりが優しくフルーティな味わいでとても美味しかった。
この後何もなければ飲み干したかったのだが…
明日はJCL公式戦としては最終戦となる、秋吉台カルストロードレース。
入賞経験の無い、上りがハードで苦手なコースだが、良い走りをしたい。
今日も沢山の応援ありがとうございました!
レースの地は我々にとってはアウェイでしたが、現地でもブリッツェンの応援が聞こえて嬉しかったです!
明日も応援よろしくお願いします!!
今日の結果で、当然負けたのは悔しいのですが、それ以前に少し気持ちに余裕ができたというか、少し肩の荷が降りた気分です。
明日は今日よりかは気持ちを楽に戦えるといいな。
それではまた。