東京までたどり着いた。
6人全員で。
ここへ至るまでの7ステージ、新しいチーム編成でチャレンジし続けて、チームメイトと共にとても濃い時間を過ごしてきた。
レースが始まる前は色々不安なこともあったけれど、今では安心感を感じられるようになった。
ステージレースはチームメイトと過ごす時間が長いから、それだけ親密にもなれるし、より連携も深まるように感じられる。
迎えた8日目の朝、僕は期間中最も緊張していた。
集中したい時は濃いめのサングラスをかける。色々考えながら今日のレースへ向けて集中を高めていく。
東京ステージはほぼフラットの短い周回コース。
コース幅も広く、毎年大集団スプリントが繰り広げられている。
スタート前。今日の風向きなどを確認して話し合う。スプリントシーンではアベタカさんとは長くタッグを組んできた。
スタート。
逃げにメンバーを送り込みたかったが、しばらくしてできた4人の逃げには乗れず。
全員で集団内での位置取りに徹してくれた。
終始、位置取り争いは激しく続いたが、皆積極的に動いてくれてとても助けられた。
こういう時はチームメイトと共に行動することが重要。
ポジショニングでも有利になるし、なにより精神的に安心できたりする。
無線で監督からのタイム差と激励を聞きながら、みんなと固まって周回を重ねる。
リーダーチームのコントロールで一定を保っていた逃げとの差も、ラスト一周になるとスプリントチームの動きであっという間に吸収され、大集団スプリントの展開になる。
ラスト一周は集団内では熾烈な位置取り争いが繰り広げられていた。
混戦で3人以上で固まってトレインを組めるチームはそういない。
我々もプランとしては4人のトレインを組む予定だったが、ラスト3km付近の落車などの影響もあり、プラン通りの動きにはできなかった。
すぐ真横で楽車があって、右脚に当たった時は危なかった…あと少し位置が違ったら巻き込まれたかもしれない。
混戦の中でも、僕は絶対にフォンの後ろだけは外さないようにしようと踏ん張り、それを確認したフォンは懸命に僕をリードアウトしてくれた。
最終コーナーの途中までにフォンは僕を3番手の位置まで引き上げてくれた。
BSトレインの後ろに付くことができた。
そこから窪木選手が発射したのを見て、僕もその後ろからスプリントを開始したが、その差は縮まらない。
そうこうしている間にも後ろから上がってきた岡本選手に捲られ、3位に沈む。
僕としては、初めてこのステージでしっかり勝負できる位置でスプリントができたが、結果を残せなかった。
チームメイト達には今できる最善のアシストをしてもらったのに。
悔しいな…
スプリンターでは無いと言い続けてきた(本当にスプリンターでは無い)が、こういう時だけはピュアスプリンターでありたかったと思う。
期間中も各ステージで沢山の応援をして頂きましたが、今日は応援バスツアーもあり、たくさんの赤い応援がありました。
沿道でどこよりも目立つブリッツェンの応援。
久々のこの光景に胸が熱くなりました。
応援に駆けつけてくれた皆様、期間中応援してくださった皆様、ありがとうございました!
応援バスツアーの帰りに同乗できなくてすみませんでした!!
これにて8日間のTOJが終了。
谷さんは総合11位でレースを終え、目標としていたUCIポイントを獲得。
ステージ優勝こそできなかったが、ポイント獲得の目標は達成できた。
僕自身、ステージレースでは初めて、各ステージで明確かつ責任感のある仕事を担い、何度か走ったTOJの中でも1番濃厚な8日間だったように思う。
お互いにリスペクトし合えて、仲のいいチームメイト達と共に走り、今年も良いチームだなと実感しました。
さて。
シーズン中最長の8日間のツアーオブジャパンは終わりましたが、中2日で次のレースへの遠征が始まります。
ステージレース2連戦のこのハードスケジュールが今年から帰ってきた。
集中力を切らさず次も良いレースができるようにせねば。
今日は明るいうちに宇都宮に帰れたので、10日も乗れなかった愛車に乗り、中禅寺湖までドライブへ出かけた。
自然の静けさというのは、部屋の静けさとは種類が違う。
缶コーヒーを片手に湖をぼんやり眺めながら、辺りが暗くなるまでの時間をベンチに腰掛けて過ごす。
忙しいレース期間から解放されて、ゆっくりとした時間を1人で過ごした。
流石に疲れた。
この短い休息期間は回復に努めよう。
それではまた。