トルコのワンデイレース2連戦が終わって一息ついたのでブログでも書こう。
トルコに来て3日目の8月24日
この日はGrand Prix Soğanlı に出場しました。
細かくアップダウンはあるものの、ほぼフラットの広大な114kmのコース。
遮るものが何も無い荒原を駆け抜ける。
主なコーナーが4つしか無い。
このスケールのコースはこのような土地でこそ実現できるのかもしれない。
比較的距離が短い平坦なレースということもあり、レースは激しくなることが予想された。
朝6時半には宿舎前からバスが出るとのことだったので、朝6時に朝食を済ませて、足早に支度を済ませて外に出る。
しかし他のチームはおろかバスすら来ていない。
今回の遠征でマッサーとして帯同してくださっている現地スタッフのアキンさん曰く、これがターキッシュ・タイムなんだそうだ。
結局、宿舎前を出たのはそれから30分ほど経った後だった。
我々のようにチームでバンが無いチームはチャーターされた路線バスに自転車と共に乗り込んでスタート地点へ向かう。
大きいバスの割に峠道をかなり飛ばすので、自転車は暴れ放題。
押さえながらスタート地点へ向かった。
スタート&ゴール地点はありあわせの簡易的なもので、チームプレゼンといっても、チームの集合写真を撮って終わりという簡易的なもの。
この辺は日本のホビーレースの方がまだしっかりしている。
ターキッシュ・タイムといえど、スタート時間はズレなかった。
スタートしてすぐは動きが無いまったりとした雰囲気。
最初に動きがあったのは最初の直線が終わる少し前の横風区間。
カザフスタン籍チームが仕掛ける。
ハイスピードの横風分断により集団は散り散りに。
横風の中を路肩ギリギリを走るその様子は昔に苦い思いをしたZLMツアーを思い出すようだった。
僕はなんとかセカンドグループで耐え、先頭が見える位置で横風区間を終えた。
幸い、ヴィクトワール勢は全員前方の集団でクリアすることができ、次の左コーナーで追い風になってすぐに集団は一つになった。
仕掛けたカザフスタンのチームもやるだけやって落ちていったので、一体何がしたかったのだろうと思いつつ、また同じことが起こることに警戒することになった。
そこからはひたすらアタックの応戦。
ひっきりなしにアタックしては捕まりの繰り返し。
平坦で見通しの良いコース故に決まりづらいのだろう。
アタックの度にチームからは必ず誰かがチェックに回り、全員で後手を踏まない展開ができていた。
決定打はラスト20kmを切る頃にようやく決まった。
これには各チームの主要選手が乗っており、その差はすぐに広がった。
チームからは柴田さんが乗ったが、これに僕かレオが乗っておくべきだったのだろう。
僕もアタックの応戦の中で上手く人を見極める事が出来ず、良い逃げを逃してしまった。
結局逃げ切りを許し、メイングループでは集団の頭を取るべくチームで固まり、久保田→中村→ベンさん→レオと僕
といった順でトレインを組み、良い形で最後の上りゴールの直線へ入った。
レオの後ろにいた僕は後ろの動きを警戒しつつ、タイミングを見計らってレオにGOサインを出した。
それと同時に自分もスプリント態勢に入ったがいまいちキレが悪く、レオの後ろに1人入れてしまった。
レオはしっかり頭を取り、それが9位。
そして僕は11位。
あぁ、またこれか。
あと一歩のところでポイント圏内を逃している。
僕はこんなことが多い。
期間中一番狙えるだろうと思っていたレースだったが、この日は身体の動きがあまり良くなかった。
この環境下で自分のコンディションをうまく整えられなかったミスだ。
少し後味の悪いレースとなりました。
翌日25日はGrand Prix Kaisareia に出場。
この日は宿舎のある場所からほど近い広場がスタート地点。
カイセリの街をスタートして、山を迂回して昨日のコースの一部を通り、最後は2200m地点のスキー場を目指す128kmのコース。
昨晩からカイセリは冷え込んで、今朝もかなり肌寒かった。
ウインドブレーカーを着て会場へ向かう。
ちょっとはトルコらしいと言える風景なのだろうか…
街中ということもあり、昨日と比べると会場は賑わっていた。
とはいえサインもプレゼンも昨日と同様の簡易的なもの。
とにかくタイトコーナーも無ければキツイ上りも無い単調なコースなので、序盤は落ち着かない展開だ。
しかしこの日はスタートから2〜30km地点で逃げが決まる。
昨日同様、アタックの動きにはチーム全体でケアに入っていたが、今日はこれに久保田が乗る。
後を追うチームも無く、集団のペースは緩み、差は一気に広がった。
しかしベンさんの指示ですぐに我々がコントロール態勢に入る。
逃げには昨年の同レースでリザルトの良かった強いトルコ人選手がいるとのことだ。
できれば2分ほどの差にどどめて欲しいとのこのだが、前が強力なのかジワジワとタイム差は広がっていく。
こちらは中村、柴田さん、僕の3人でローテをして追いかける。
他のチームは追う気が無いらしく、協調は得られなかった。
チームカーからの監督の指示では前は強力じゃないから僕らだけで頑張って追う必要は無いとのことだったが、改めてベンさんに確認すると、前は強力だから追わなきゃだめだとのこと。
この場合は現場のエースの意見を尊重すべきだと判断し、果てしなく感じる単調な直線路をひたすらに牽引した。
30km地点くらいから始めたコントロール。
レースは120km以上ある。
この距離を3人で追わなくてはならないと考えると一時は絶望的にも思えた。
しかし連れていけば必ず勝てる選手を率いる身としては、簡単に諦めるわけにはいかない。
元々TTは得意なはずだと自分に言い聞かせ、チームメイトを上手く温存させるためにも極力長い時間を引くことを心がけた。
単調とはいえ、前を引いていると僅かな風やちょっとした勾配変化もハードに感じる。
おまけにこの変わり映えの無い景色よ…
終わりの見えない20分走のトレーニングをしているようだった。
差は最大で3分ほどにまで広がった。
やがて長い直線路が終わり左へ曲がると、昨日の序盤に通ったコースを逆走で走るレイアウトになる。
この辺りで逃げから戻った久保田も合流し、4人で前を追う。
逃げ集団との差が縮まり始めた。
こっちが死に物狂いで追ってるのを察したのか、あるいは逃げメンバーの疲れが出たのか。
タイムの縮まり方からして諦めて足を止めているようにも思えた。
我慢比べで勝てたのなら嬉しいが。
上りに入る10数キロ手前で逃げをキャッチ。
この場合、理想としては上りの麓あたりで上手く捕まえたかったが、逃げが急に足を止めたので早めに捕らえる形になった。
そこから上りで勝負したいチームが前に上がってくるので、前のポジションを譲らぬように引き続き集団を引き続ける。
しかし僕は先の引きがいよいよ脚に来て、上りに入る直前でローテから離脱。
麓からは上りに向けてペースアップの予定だったので、そこからはほぼロケット状態だったのだろう。
チームからはレオとベンさんの2人をフレッシュな状態で勝負どころに送り込むことができた。
久々に長時間集団を引いて脚を使い切った僕はというと、当然長い山を上れる力も残っておらず、なんとか予備タンクの力を使って脚を動かしている状態。
同じく脚を使い切ったチームメイトと合流しながら、およそ15kmに及ぶ上りをゆっくりと上っていた。
後ろを振り返ると最後尾の回収バスがゆっくりと迫っており、その後ろは規制解除を待つ車の列ができていた。
なんかゆっくり上っていつまでも止めているのは申し訳ないなと思いつつ、降りろと言われるまで降りたくは無い僕は、とりあえず行けるとこまで行こうと漕ぎ続けた。
やがて後ろを走ってたチームメイトも回収され、僕はその前で追いついた選手と一緒に走っていた。
残り7kmくらいの地点で、いよいよすぐ後ろにバスが迫り、トルコ語で何か言われた。
なんとなく雰囲気から、
タイムオーバーだから降りろ〜
と言われているような気がして僕は素直にバスに乗車した。
しかし、一緒に走っていた選手からは降りる気配がしない。
バスが隣に並んでも止まらなかった。
結局一緒に走っていた2人はそのままゆっくりゴールにたどり着き、そのすぐ後ろでバスでゆっくりゴールした。
え、じゃあ僕が降りた最後の一人だった?
なんだよ、またあと一つのとこでDNF扱いじゃん。
こういう時に言葉を理解できないことが悔やまれる。
にしてもトルコ語は難しすぎるが。
しかしチームピットに帰るとベンさんの優勝の知らせを聞けてハッピーだった!
頑張った甲斐があったってもんだ。
完全なアシストとまでは行かなかったが、少しでも勝利に貢献できたなら嬉しい。
やはり僕はエースをするよりアシストをする方が好きだ。
そこにロードレースの面白さがあると思っている。
レースを終えると、アキンさんが祝杯をあげようと外に連れ出してくれた。
たらふくピザやトルコ料理を食べた後、アキンさんとお店の人がサプライズで用意してくれたテラス席へ。
シャンパンとデザートだ!
洒落た(ように感じる)街並みの景色を眺めながらのシャンパンは良きでした。
アキンさんありがとうございました!
明日は次のレースの開催地、サムスンへ向かいます。
陸路6時間。まぁまぁハードだ。
まぁしかしこの宿舎を出られると思うと嬉しいなぁ。
次の宿はもっとまともなことを祈ります…
遠く離れた地からの応援ありがとうございました!
僕は冴えない走りでしたが、チームとしては良い結果を得ることができました。
まだトルコ遠征は続きますので引き続き応援よろしくお願いします!
それではまた。