オノデライダー戦記

宇都宮ブリッツェン所属プロロードレーサー小野寺玲のブログ。いつまでも自分らしく輝きたい僕の日常や活動を発信していきます。

気持ち

 

 

ツールドランカウイ第2ステージ。

 

逃げが決まってからサイクリングモードがしばらく続き、175kmある今日は平和だが少々退屈なステージだった。

 

龍さんの体調不良により、僕が最後のゴールスプリントに挑むことになった。

残り10kmあたりからゴールを狙うチームがポジション争いを始め、集団の密度が上がりピリピリしていた。

ラスト3km付近までは譲さんに引き上げてもらい、そこからは有力チームの後ろを狙って一人でポジション争いをしていた。

 

 

しかしちょうど残り3kmを切った辺りで突然僕の視界が前方から地面へ変わった。

 

恐らく、僕の前方にいた選手の急な動きに前輪が取られたのだろう。

 

ハイスピードで(多分)右側から着地した僕の身体は路面に削られ続ける。

 

集団の密度も高い中での落車だったから、後ろから来た選手に何回も突っ込まれている感覚だけは分かった。

 

何回転したのか分からないけれど、気付いたら僕は道路の中央に転がっていて、バイクは離れたところで倒れている。

 

痛い。

 

バイクはペダルが割れて走行不能

スペアバイクを降ろしてもらってなんとかゴールした。

 

ゴールすると僕の様子を見てすぐに救護スタッフが駆け寄ってくる。

 

意識が朦朧としている中、テントに運び込まれ、見える範囲の傷に消毒スプレーらしきものをひっかけてはゴシゴシ拭いてくる。

 

とてつもなく痛かった。

 

そうこうしていると突然吐き気に襲われて、慌ててスタッフにヤバいと伝える。

結局なにも戻しはしなかったが、しばらくゴミ箱らしきものを抱えたまま動けなかった。

 

ドクターの指示でしばらく涼しい救急車の中で横になることに。

もう色んなところに傷があってリラックスできる姿勢なんて無い。

 

 

それから数十分して少し動けるようになったらチームカーに乗り換えてホテルに戻った。

 

 

その後のシャワーは言うまでも無い、地獄だ。

 

転倒時、早々にレーパンがめくれ上がってしまっていたらしく、大腿部をダイレクトに削っていた。

 

そこにマレーシア製のシャワーをひっかけたら、猛烈な痛みなのか痺れなのか、よく分からない痛みに襲われ、失神しそうになる。

 

海外映画にあるような主人公の苦痛に耐えているようなシーンを思い浮かべて、必死に耐えるような唸り声を上げながらシャワーを浴びた。

 

 

それから細谷マッサーに手当てをしてもらって、傷の痛みは少しばかり治った。

 

だがあまりにも気持ち悪く、夕飯も口にできないまま眠りに落ちた。

 

翌朝も普通なら腹が減って起きる僕だが、全身の怠さと気持ち悪さでベッドから出れず。

 

朝食を口にしないまま、この日の出走の為に破れたジャージから違うジャージにゼッケンを付け替えていた。

 

 

その後監督と相談して、まずは出走してみることにした。

 

僕自身も、ここで辛いからと出走しないのは逃げだと自分に言い聞かせてサインする。

 

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暑いし痛いし辛かった。

だけど、ここに連れてきてもらった意味を考えたら、走るしか無かった。

 

 

 

結局、無理して出走した第3ステージでは、重要な局面を前にして僕の身体の限界が来てしまった。

 

いや、正しくは僕の気持ちが折れたのかもしれない。

 

 

 

 

 

スタート直後に乗っていたバイクのディレイラーが動かなくなり、チームカーに戻って自分のでは無いバイクに乗り換えて集団に戻る。

 

その間に僕のバイクを見てもらったが、すぐに治らない故障のようで、僕はそのまま不慣れなバイクで走ることとなる。

 

 

食事も摂れなかったから、頑張って補食を食べようともしたが、それどころでは無い。

 

恐らく貯蓄エネルギーも少なかったのだろう。

 

痛みとエネルギー切れと気持ち悪さのせいか、妙に呼吸が落ち着かない。

 

ちょっとした坂でも息が上がって辛いなか、なんとか距離にして100km程は走ってみたが、3つ目のカテゴリー1の山の麓でバイクを降りた。

 

それからチームカーに乗ってゴールまで。

 

 

この日のゴールはペトロナスツインタワーの目の前だった。

 

僕の思い出の場所でもある。

 

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今は亡き祖父との写真。祖母が先日送ってきた。

 

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この写真を撮った頃はツインタワーが出来て間もない頃だったんじゃないかな…

 

 

 

思い出の建物を横目に、痛みと気持ち悪さに襲われることになるとは。

 

 

これでもう明日から走ることは出来ない。

 

悔しいし、情けないし、恥ずかしい。

 

チームメイトが疲れて帰ってくるのを一人ホテルで待つのは辛い。

 

今となってあの時降りた自分に腹が立つ。

 

チームメイトや他チームの日本人が活躍している情報を見て余計に悔しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツアーが終わった翌日、ランカウイ島で行われるワンデーレースには出走する気でいるのだが、体調もそうだし、回復の為といってもこれだけ自転車に乗ってなくて大丈夫なのかと心配にもなってきた。

 

それに未だに体調は良くならない。

怪我は我慢できるまでに回復しつつあるが、頭の方は微熱のような感覚に毎日悩まされている。

毎朝起きるたびに物凄い倦怠感に襲われている。

今日は目の奥も痛くなり、もはやこれは風邪なのか落車が原因なのか分からなくなっている。

 

 

でもここまで来てなにも出来ずに終わって、ホテルで寝て過ごすだけの遠征にはしたくない。

 

 

後1日。

 

今はとにかく目先のレースに向けて回復に専念しようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落車の報告以来、沢山の方から励ましの言葉を頂きました。

 

ありがとうございました。

 

当時はとても心細く、励ましの言葉に救われました。

 

 

 

 

せっかく今回の遠征のメンバーにしてもらったのに、結果に貢献できずとても悔しいですが、いつまでも落ち込んでないで次戦で結果を出せるように努力します。

 

 

 

 

体調の都合上、なかなかブログを更新できずにいてすみませんでした。

3日かけてようやく書き終えました…

 

 

今後とも応援よろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

それではまた。